排ガス中NOxの資源化及び排出量低減に関する研究開発
現在は低濃度であるがゆえに合理的な回収等が一般には行われていない、燃焼排ガス中に含まれるNOx等窒素酸化物を回収して、資源化(NOxをNH3に転換、NOx to Ammonia: NTA)する技術を開発する。
- 親水性/疎水性空間内での金属種由来の静電場を利用した超高選択的なNTA用NO吸着(東京大学)
- 酸化物材料の多孔化技術を駆使した精密ナノ空間設計とNTA用NOx吸蔵場の提供(産業技術総合研究所)
- 無酸素条件下、未燃還元性ガスや余剰水素等を利用した低温活性の高いNTA用触媒の開拓(産業技術総合研究所)
- 酸素条件下、未燃炭化水素等を利用したNTA用触媒の高活性化技術の開拓(早稲田大学)
- NTA変換後NH3吸着・資源化プロセスの研究開発(産業技術総合研究所)
- NO吸着・脱離+NTA反応の統合プロセスの合成・評価(産業技術総合研究所[再委託:東京工業大学])
シームレス2段NTA触媒システムの設計
内燃機関や廃棄物処理などの排ガスを対象としたNTA触媒として、我がチームでは既に以下の2系統の触媒開発に成功している。
- 比較的高濃度の夾雑物共存下でもワンパスでNTA反応を促進する超高選択的触媒
- 特に酸素非共存下でNH3収率ほぼ100%を示す非選択的触媒
本研究では、特に②についてのシステム化を追究している。そこでは、①ではなかなか達成しえない触媒反応を温度の異なる2つの反応ステップに分割し- 比較的高濃度の夾雑物共存下において、排ガス中NOのみを選択的に不可逆吸着する材料によるNO濃縮
- 加熱により脱離させた高濃度NOを水素などの還元剤を用いて酸素非条件下で推進するNTA反応
と機能分割、ならびに時間分割することで、これら2段の表面反応をシームレスに促進する触媒システムを設計している。
酸素条件下、未燃炭化水素等を利用したNTA用触媒の高活性化技術の開拓
大量の酸素、大量の水蒸気、二酸化炭素、二酸化硫黄等の夾雑物共存下でも窒素酸化物(主にNO)を選択的にNH3に還元できる触媒反応系の構築を目指す。還元剤としては低級炭化水素や水素を用いる。NH3の収率が50%程度になれば、生成したNH3を還元剤とするNH3-SCRの操業が可能になる。一方、NH3収率をそれ以上に高めることができれば後段に分離濃縮プロセスを配することによって新たなNH3合成プロセスを構築できる。いずれの場合も現行ハーバーボッシュ法NH3合成のような原料ガス精製や高圧反応プロセスを必要とせず、エネルギー的に有利である。また、本法により有害な窒素化合物の空中への放出を抑制できる。
2.東京大学 pdf資料 動画
3.早稲田大学 pdf資料 動画
4.宇部興産株式会社 pdf資料 動画